| 《H9,6月,算数数学大会研究発表より》 【これが原本です】 1 はじめに 今回の研究を依頼されたのが,2月初め。 新たな研究課題をたて実践するにはあまりにも期間が短すぎるため, 普段から考え,実践してきていることを基に,今大会のテーマに迫りたいと思う。 どの教科においても言えることだが, 「自ら学ぶ力:自己解決力」の育成というのは,学習者である子供達が, その学習に興味関心を示す事から始まる。 低学年の場合は,すこしでもこれを欠いてしまうとやる気を出してくれない。 まずはやる気を起こさせること。 そして,わき上がった意欲を生かしつつ,それぞれの子供達に成就感・達成感を与えられること。 これが出来れば,ある程度の力は付いてくると考え,実践してきた。 しばらくしてから幾つかの問題も上がってきた。 全体的に 「算数的なイメージ力が乏しいこと」や 「算数を日常に結びつけられないこと」, 「国語での読み取りは出来るのに算数の文章題になると出来ない」 といった問題である。 これらの問題を解決していくために, 「算数を楽しむ」を基本理念と,学習の支援・援助を行った。 その際,下位の児童,中位の児童,上位の児童のやる気を バランスよく維持していく事の難しさも痛感した。 これらの諸問題を少しでも解決しようと思い,本研究に取り組んだ。 2 研究のねらい
これらのことについて明らかにしていく。 3 研究の仮説
4 研究内容
5 研究の実際 (1)日常生活に結びついた算数的なイメージ力をつけるための工夫。 @ 数字を使わない式。 計算の苦手な子供達にとって一番大切なのは, 時間はかかっても確実に1問1問を解いていくことにある。 そこで,数字を使わない式を子供達自身にたてさせて, 視覚的に考えられるようにした。
一般的には[例1]の方が多い。 [例2]は,上位にあたる子供が考え出した。 後は,出されたいろいろな図式の説明を, グループまたは一斉に考え,話し合った。 計算を指折りで考えていた子供達にとってはかなり参考になったようである。 その後,これをやるために,メモを使うようになった。 上位の子供達にとっても計算の仕組みをあらためて考える機会が出来て,良かったようだ。 友達に計算を説明するときに,やはり,このような図式的な方法で説明するようになった。 (第2学年 前半のこと) A 買い物感覚で計算を考える。(PCでかけ算) 「買い物ごっこ」的な事を織り交ぜて学習すると,かなり興味を持って取り組む。 人数等,買い物と関係ない問題でも, つまずいてしまった場合は,文章を,少々強引でも 買い物に置き換えて考えさせると理解していた。 つまり,式の意味さえしっかりと押さえておけば, 言葉を変え,文章を変えても算数的感覚は養われていくようである。 むしろ,この,「何かに置き換えて自分の考えを整理していくこと」こそが, 今の子供達には大切なのことなのかもしれない。 このようにして,算数的感覚を少しでも身につけさせようとした。 更に,本校(延岡市立西小学校)には,かけ算を扱った「数ヤ君」というAPがあり, その中に買い物ごっこ的な内容があったので活用。 子供達の好きなアニメーションと音声付きなので,かなり好評だった。 内容的には5,6年生レベルの問題もあったのだが, 興味関心が難易度を克服してしまい, 2年生でも,メモによる計算(筆算や絵図等)が自然発生的に行われ これらの難問を解こうとしていた。実際に解く子もいたが, そうでない子も,モニター画面とメモを比べながら,熱心に考えていた。 興味関心が難易度を越えた瞬間だった。 この様子を見て,今後の学習の在り方がおぼろげながら見えてきたように思う。 実生活に基づいた内容と,新しい物への興味をうまくかみ合わせる事の大切さ。 当たり前で,実に平凡なことであるが, 低学年に算数そのものを楽しませる為の基本は,やはり,ここにあると思う。 (2)低学年における算数の楽しみ方の工夫。 @ 学習の雰囲気づくり 学習中に,または普段の様子から,よく耳にしたのが 「僕の真似しちょる!」という言葉であった。 これが,「真似していいよ。」「真似したら分かった。」となるように留意した。 この雰囲気作りが,それぞれの意見,考え方を深化させる基礎となった。 (発表者が,まわりの子供達の反応を怖がらなくなった。) A 模倣とオリジナリティーのかみ合わせによる,考えの深め方について。 上記を生かし,自力解決に結びつけるには, グループ活動がいいと思った。 @の雰囲気が出来はじめたのが,国語の説明文における各段落ごとの要約を グループで話し合い始めてからであった。 算数での説明は,国語のそれと違い,グループでかなりもめていたが, 行き詰まっても,発表が始まり,一つ意見が出ると, それを基に,自分たちなりの考えを織り交ぜながら,自分たちの意見として発表するようになってきた。 これらのことを繰り返していくことが,自力解決迄のプロセスを知ることとなり, それが基で,徐々にではあるが,自分の考えを深めていくことへと結びついてきたようである。 (合い言葉:良いところは真似しよう!真似された人は自慢しよう!) (3) 到達目標と評価 [構成主義的学習の観点に基づいて] @ 実態と到達目標 各学年の実態(発達段階)にあった到達基準を設定しておく。 これを到達目標と設定する。 ただ,目標だからといって必ずこれを達成しなければいけないということではなく, 飽く迄も教師が行う支援・援助の為の指標的扱いであると考えて欲しい。 これは,一度作成しておけば,必要でない限りかえなくてよい (練り上げは必要だが・・)。 A 指導と評価(構成主義的観点をもとに) 評価を綿密にしようとするときりがない。 その分,教師の持つ様々な期待が子供達にずっしりとのしかかることになり, どうしても指導的になってしまう。 〔このことを行動主義と言う:伝達,練習を中心とした指導がそれのあたる。〕 「自ら考える力の育成」とは 子供達の考え・意見(部分)を基に, 彼ら自身がそれら全ての部分を結びつけながら一つの答えを構成していく。 この過程が「自ら考える力の育成」に直接結びついていると思う。 教師は,それを見守り,必要とあれば支援・援助をするだけである。 これが 構成主義に基づく学習方法の一つである。 (自分ではそう理解しているのだが・・) しかし 正直言って,この方法は,波に乗るまでかなりの時間を要する。 故に 最初の内は,その活動を少しでもスムーズにする為にも, 何らかの基準は必要となる。 それが@の基準表である。ただ,扱いは@で述べた通りで, 必ず達成しなければならないというものではない。 教師がこれを追求しすぎると, 結局はこれまでの教師による権威的な指導に終わってしまう。
それを実践する上での時数的・時間的な問題, それに伴う学力向上という点での不安はどうしてもついてまわる。 これは,他教科にも言えることで, 本当に子供達の自主性・主体性をを大切にして行きたいのならば, 是非とも全国規模で考慮していかないといけないことだと思う。 このことを,直接伝えたくても,伝える術を知らない自分がもどかしく思う。 5 さいごに 評価,または,それに基づく指導も, 追求しすぎ,振り回されてしまうと,詰め込み主義的になり, その教科の持つ楽しさを失ってしまう。 そのためにも今後,他教科も含め, 魅力のある算数,生活の役に立つ算数, 更には「意味」を重視し,自己解決力向上を目標とした算数の実現をめざし, 今後も考えていきたいと思う。 ★ 現在はこれを基に「各教科(今年は国・算)におけるコミュニケーション能力の育成と言うことで, 全ての児童における意見構成力・意見の表現伝達力をどう育てていくかを研究中である。 それぞれの児童が,あきらめず分かろうとし,または,相手に自分の考えを納得させようとする活動を活性化させることで, お互いの意見を練り上げ,課題に沿った意見を構成させる手立てを探求していこうと思う。 授業の構成,流れにおいても児童の意見をできるだけ取り入れていきたいと思っている。
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